父の人生

元国鉄マンだった父。美容師の母を嫁に迎え、絵にかいたような髪結いの亭主に。しゃかりきに店を切り盛りする母を横目に、父は道楽三昧だった。とくにアユ釣りにはどれだけ入れ込んだだろう。何十万円もする竿を手にしてご機嫌だった。そんな父も52歳で心筋梗塞で倒れる。

仕事を早期退職し、暇をもてあそぶ父は、草花の育成にのめりこんだ。手をかければきれいに育ち、なにも文句を言わない草花は、父のかけがえのない子どもになった。好きなことを貫き通した父は、幸せだったと思う。親孝行なことはできなかったが、安らかに父を見送りたいと思う。(sumito)