寝たきりだった祖母は、結核にかかって病院で息を引き取った。その前日、見舞いに行った私は、祖母の耳元で、「もう、がんばらなくてもいいよ」と囁きかけた。その瞬間、祖母の閉じた目から涙がこぼれた。翌日、病院から臨終の連絡が来る。あの涙は、どんな意味だったのだろうか。楽になりたいという意味か、もっとがんばりたいという意味か。必死に生にしがみついていた祖母を、私の囁きが引き離してしまったのかもしれない。もう、20年くらい前のことであるが、今も昨日のように思い出す。「がんばらなくてもいいよ」。今、がんばりすぎてつらい人にも声をかけたい。今は、手を抜くときかもしれない。心と体を休め、充電するときかもしれない。元気が出たら、がんばろう。(sumito)
今日のBGM:yesterday