大学時代の話である。もう40年も前だ。眼鏡をしていた私は、新潟市内の眼鏡院でメガネを作ろうと、電車に乗ってお目当ての店に向かった。バスに乗り継ぎ、古町という繁華街で降り、眼鏡院に立ち寄った。視力を測り、できるまで時間を潰すことになった。そのとき、ふっとお尻のポケットにさした札入れを探った。ない!。どこで落としたのだろう。当時のメガネは結構高かったので、5万円を入れていた。駅まで戻り、通ったあたりの店に、札入れが落ちていなかったかを聞いて回った。しかし、どこにも姿はなかった。そういえば、バスに乗っていたとき、それほど混んでいなかったにもかかわらず、側に寄っていたオヤジがいたなと気付いた。スリだった。幸い、銀行のキャッシュカードを持っていたので、メガネ代は何とか支払った。以来、ポケットからはみ出す札入れは2度と使わない。折りたたみが安全だ。今、若者はカードでパンパンの札入れを尻ポケットのさしている。スリに遭わないのかと老婆心ながら心配だ。(sumito)
今日のBGM:裸の王様