雲丹を食べたのは大人になってからだ。甘くてとろけるようだった。大好きな寿司のネタになった。上にぎりでないと雲丹はつかないので、滅多には食べられない。大学卒業後、久々に上京して友人と鮨屋に入った。給料後で余裕があったせいもあり、雲丹や中トロなど、高級ネタを頼んだ。はす向かいにカップルが座っていて、鯖や烏賊など、安価なネタを注文していた。こちらは男同士。やっかみもあり、どうだとばかりに高級ネタを次々と注文した。アベックの男の顔色が白くなったような気がした。「ざまあみろ」と溜飲を下げたのは一瞬だった。お会計のときとなり、値段を聞いて腰が抜けた。今度はこちらの顔が白く引きつってしまったのである。バカは死ななきゃ治らない。(sumito)
今日のBGM:今宵は月がきれい