やればできる、こともある

これまでの人生の中で、本気になって取り組んだことが一度だけある。それは中学3年生のとき、高校入試のための勉強だ。希望校には点数が足らなかった。親が「○○高校に入ってほしい」と呪文のように繰り返していたせいもあるが、なるべくレベルの高い高校に入ることが、女の子にモテる秘策だと胸算用していた。今の点数ではとても合格できない、と担任に尻を叩かれ、それから死ぬ気になって勉強した。学校から帰ってくるとすぐに布団に入り寝た。午後8時ころに起き、それから飯を食べ、風呂に入り、勉強をした。夜中の3時まで、5~6時間勉強していた。時には眠れなくなって、朝まで一睡もできなかったこともある。さすがにここまで努力すると、神は見放さない。見事、希望校に入ることができた。しかし、この成功体験が私の人生を狂わす。自分はやればできるんだと思い込み、日々の努力を怠ってしまった。高校時代はろくに勉強せず、順位は下から一桁をうろちょろしていた。さすがに最下位にはならなかったが、上には上がいるものだと驚いた。当然、大学入試は思うようにはいかず、とりあえず引っかかってくれた大学に進学した。今の若者の中に、「やればできる」という思い込みが蔓延しているらしい。しかし、「死ぬ気でやらなければできない」という自覚を持ってほしい。私も真剣に音楽活動に取り組まなくてはならない、という自戒を込めて。(sumito)