大学生時代の後半は、レコード店通いに明け暮れた。学校で仲間と落ち合うと、必ず新宿か渋谷の輸入レコード店に顔を出した。新宿レコードでは、店のパパさん、ママさんと馴染みになった。それもそのはず、売れそうもないレコードを次から次へと買ってくれる大得意のばか者達である。失礼をしては、売り上げが落ちてしまう。あの店は今でもあるのだろうか。さて、テレビにもラジオにも流れないレコードが山ほどある。見たことも聞いたこともないアーティスト、バンドのレコードの数々。その中から、私たちは財宝を探し当てるかのように、一枚一枚鑑定する。そう、レコードを買うかどうかの判断は、レコードの入っているボール紙(ジャケット)のデザインで見極める。見て、インスピレーションがわけば、もう買いたくて止まらない。「私を貴方の部屋に連れて行って」とデザインが訴える。「よしよし、初い奴じゃ」とデレッとして、なけなしの3600円を払うのである。ドイツ盤やイギリス盤は高かった。アメリカ盤は安いのだけれど、チープであった。ところで、大枚をはたいて手に入れたレコードであるが、買って良かった、と満足するのは5割を切る。多くは、騙された、とガックリと肩を落とすのであった。しかし、それも鑑定力を上げるための修行なのだ。と自分に言い聞かせて、またレコード店に繰り出す日々が懐かしい。(sumito)