しばらく、曲が思いつかなかった。スランプだった。もう曲は作れないかもしれないと、恐怖を覚えた。私の音楽人生もついに終わりかと落ち込んでいた、実は。ところが昨日、突然フレーズが思い浮かび、メロディが流れてきた。さっそく詞をメモり、コード進行を起こした。何ヶ月ぶりの新曲だ。出だしのメロディが、昔の曲に似ているが、そんなことは関係ない。全体のメロディが違うのだから、気にしないでいこう。曲名は「もっと愛して」。不倫関係の女性の感情を唄にしてみた。繰り返す言葉が切ない。いい曲ができたと思うが、どうだろうか。反応が気になる。まだまだ、いい曲ができるという期待を持たせてくれる。曲は勢いで作る。メロディにフレーズがピタリとはまれば、あとは勢いで詞を紡ぐ。メロディは浮いては沈み、浮いては沈みを繰り返す。いいメロディほど、何度も浮いてくる。そして詞のフレーズが当たれば、曲という魚が釣れる。曲ができた喜びに、しばらくは浸っていられるだろう。(sumito)