詞はイマジネーション

前回は作曲について説明した。曲はインスピレーション、思いつきでできる。それに引き替え、作詞はイマジネーションだ。こんな60歳も近いおっさんが、少年の恋や女性の気持ちなどを詞に書いている。他人から見たら気持ち悪いかもしれない。でも、プロの作詞家だって、みな同じ。想像力だけで言葉を紡いでいる。頭の中で想像を大きく大きく膨らませ、経験や知識を総動員して言葉を並べている。ただ、それだけではない。実は詞の多くの部分は、こうあってほしい、こうありたい、という願いが込められていることが多い。例えば、父親の心境を綴ってみる。そこには大切な娘を横取りする男性が出てくる。悔しくもあるが、その男性は好青年であってほしい。だらしのない男では、父親は納得しないのである。このように願望を潜り込ませて、詞ができあがる。幸せそうな歌詞も、そのまま受け止めてはいけない。その幸せの裏には、大きな不幸が隠れているかもしれないのだから。どうりで、最近私が作る曲は、幸せな唄が多いのか。(sumito)