おそらく、どの自治体でも家庭教育事業は実施していると思う。とくに生涯学習、公民館での実施が多いのではないだろうか。新潟市では、0歳児の保護者を対象にした「ゆりかご学級」という講座を実施している。母子分離学習と唱い、赤ちゃんは保育室で保育者(保育士ではない)が預かり、保護者は別室で学習に専念する。子どもがそばにいないので、受講に専念できることが強みだ。ところが、保育者に経費がかかり(受講者の負担はない)、事業の開催に暗雲がかかっている。開催数を減らそうという意見が出ているためだ。確かに経費は事業費を圧迫しており、減らすことでほかの事業に予算を回す余裕も出てくる。しかし、待ってほしい。ただ減らすという単純な考えはやめてくれ。開催数を減らしたら、受けたい人が受けられなくなるではないか。全体の定員を充たしていなくても、受講したい人がなるべく受講できる環境を確保することは、重要なことだと思う。ほかにも、質を最低限確保し、受講機会を提供する方法はあるはずだ。例えば、定員の見直し。郊外の公民館では、定員に達していないことが多い。ならば初めから定員を減らすことで、経費を削減できる。定員については、もっと柔軟な対応ができると思う。さらに今、健康福祉の担当課で、ベビープログラム(BB)という事業を展開しており、対象者や学習プログラムが、ゆりかご学級とかぶっている。であればBBの継続学習として、BBで学習する以外のプログラムを組み立て、友達作りや知識・意識の向上などに特化してはどうだろう。縦割りで、ゆりかご学級は公民館、BBは健康福祉と、担当にこだわらなくても、互いが補完し合うことで、より市民が恩恵を受ける環境を提供することが、自治体の役目だと思う。家庭教育は大切だ。子育ての楽しさを学習することで、もう一人産んでみようかという意思が芽生えれば、少子化への対策にもなり得る。子育てのストレスや苦しみしか知らない母親は、もう子作りを諦めてしまうだろう。だからこそ、安易に開催数を減らすという発想はしてほしくない。もっと工夫する余地がある、はずだ。(sumito)