N響メンバーによる演奏会《その7》

次の異動先は、再び亀田地区公民館だった。新しい文化会館兼公民館を建設中で、私はまた夢を描いた。本格的な音楽ホールができるので、また最高レベルの演奏会を催してみたい、と。再び亀田の実行委員会に相談し、一番初めに行ったN響のソロコンサートマスターをはじめとしたメンバーで、文化会館のオープニングコンサートをやりませんかと切り出した。うれしいことに、協力してもらえることになった。しかし、計画を進めていく中で、私の精神的な負担が大きくなり、途中に抜けることになった。一番最初の担当者が音を上げたのも無理はない。しかし、実行委員が私の業務を引き継ぎ、計画を進めてくれた。ありがたかった。委員の皆さんには、どれほど感謝しても足りないくらいだ。開催直前に復帰し、無事オープニングコンサートは成功した。そして、これまで何年も演奏会で演奏してくれていたメンバーを招き、翌年最後の演奏会を開催し、N響メンバーの演奏会は幕を閉じた。実行委員および演奏者も高齢化し、ちょうどよい潮時だった。10数年に渡る活動だったが、私の得るものは大きかった。とくに人脈を広げられたことは、これからの人生に役立つことだろう。自己満足と言われるかもしれないが、満足しない人生よりも、自分が満足する人生の方がいいに決まっている。だからこれからも、私は夢を追い続けていくことだろう。《完》(sumito)