さて、演奏会は回を重ねるごとに安定していった。予定を上回る入場料収入に、町の施設のピアノ購入費の一部を寄付することもできた。一番うれしいのは、実行委員の人たちが、一生懸命かつ楽しそうに活動していることだった。入場券の販売を勧誘したり、協賛企業を回って頭を下げたりと、ずいぶん負担を強いてはいたが、誰も不満をこぼさずにやってくれた。本当にありがたいことだ。委員のみなさんの力がなくては、この演奏会は実現できない。私の思いつきで始めた演奏会ではあるが、感謝しかない。私は自分が音楽に携わっていたので、この地域に音楽文化を浸透させたいという夢があった。そして、それが地域作りに貢献できることであると確信して活動してきた。演奏会に関わる業務は、あくまでもプライベートでやってきた。ある意味、仕事でないからこそ、張り切れる面もある(仕事をおろそかにしたわけではない)。演奏会は私のライフワークとなった。いずれは私が手を引いても、実行委員会で継続してもらいたいと願っていた。しかし、それは叶わぬ夢となった。《その4に続く》(sumito)