子どもの頃、ウルトラマンはヒーローでした。まだ、モノクロのテレビの中で、悪の怪獣を倒す、正義の味方。私は夢中になって画面に食い入りました。怪獣の人形も、いっぱい集めました。ただ、ウルトラマンにも弱点がありました。戦うことができるのは、3分間だけなのです。青く光る胸のカラータイマーが、2分を過ぎると赤に変わり、ピコピコとアラームが鳴りだします。見るものはハラハラとウルトラマンを応援し、ぎりぎりで怪獣を倒すと興奮していました。私は、定年まで3年を残して退職しました。定年であるはずの3年後までに、音楽を仕事にするという結果を残すことができなければ、夢をあきらめて他の仕事に就くと、家族に誓いました。なので、2年でめどが立たないと、私の脳の中でカラータイマーが赤く光り、耳鳴りのようにアラームが響くことになります。ウルトラマンはテレビ番組なので、視聴者を裏切ることなく、最後には怪獣を倒して、地球の平和を守ります。でも現実社会にいる私は、夢が叶うという保証はありません。家族の平和を守るためには、夢をあきらめなければならないかもしれません(というか、その可能性が高いのですが)。でも、カラータイマーが消えるまでは、必死になって可能性を追い求めていきたいと思います。(sumito)